1988 年 35 巻 2 号 p. 115-123
東シナ海を含む日本の南部海域からアカエイ属の新種ヤジリエイDasyatis acutirostraが得られた.本種は眼球径が小さいこと, 吻が非常に長いこと, 口内底に皮弁状突起が無いこと, 尾部腹面に皮摺を持っこと, 胸鰭に129-135, 腹鰭に23-28の輻射軟骨を持っこと, 腸に22-24の螺旋弁を持っことなどで, 他種と区別される.ズグエイD. zugei (Muller et Henle, 1841) の総模式標本6個体において, 原記載の図示標本および各標本状態を検討した結果, マカオから得られたMNHN1987-152を後模式標本として指定した.ズグエイの後模式および副後模式標本とヒメズグエイD. cheni Teng, 1962の完模式標本を比較した結果, 差異は認められなかった.よって後者は前者のシノニムと判断された.