魚類学雑誌
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駿河湾から採集されたマアナゴの前葉形仔魚
望岡 典隆多部田 修久保田 正
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1988 年 35 巻 2 号 p. 184-188

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抄録

1982年11月7日に駿河湾の北部, 戸田沖 (34°57´N, 138°39´E) から東海大学の望星丸II世によって1個体の葉形仔魚が採集された.この仔魚の全長は16.0mm, 総筋節数は142, 胆嚢前筋節数は38, 最終垂直血管の位置は第52筋節で, 消化管は直線状であった.小黒色素胞は眼および眼の下方, 喉部, 体側正中線付近, 消化管にあり, 体側正中線付近では体の前方から尾部まで1列をなしてみられた.以上の特徴より, マアナゴ (Conger myriaster) と同定され, 幼歯の形態, 肛門の体節上の位置等により, 前葉形仔魚期に属するものと判断された.この仔魚は夜間 (20: 00-21: 00) に稚魚ネット (口径1.6m, 目合2.0mm, 平均曳網水深112m) で採集された.採集点の水深は1,200-1, 500m, 表層の水温は21.5°C, 90m層は18.1°C, 表層の塩分濃度は34.1‰, 90m層は34.5‰であった.この仔魚の出現によって, マアナゴの産卵場の1つが駿河湾またはその隣接海域にあり, 産卵期は秋であると推定された.

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