ヨーロッパブナCarassius carassius雌とタモロコGnathopogon elongatus elongatus雄との間で人工的に交雑を試みた.この交雑における発生率, 孵化率はそれぞれ51%, 44%で, 生き残った雑種のうち13個体が, ほぼ成魚形にまで成長した.これらの雑種を孵化後3年6ヶ月経過したところで形態学的, 核学的に分析し, 両親種との比較を行なった.その結果, 雑種の形態は雌魚に似たヨーロッパブナ型, 雄魚に似たタモロコ型の2型に分けられた.また核型はヨーロッパブナ型では雌魚由来の2ゲノムと雄魚由来の1ゲノムの合体したもので, 一方タモロコ型では雌魚由来の1ゲノムと雄魚由来の2ゲノムの合体したものであった.従って雑種の形態の2型は, 核型に含まれる3ゲノムに左右されていることがわかった.