魚類学雑誌
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日本初記録のイソギンポ科のマダラギンポ (新称)
平松 亘町田 吉彦
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1990 年 37 巻 2 号 p. 191-193

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抄録

愛媛県南宇和郡御荘町の室手湾で, イソギンポ科のマダラギンポ (新称) Laiphognathus multimaculatusを採集した.標本 (雄1個体, 標準体長35.5mm) は, 水深約8mの転石上のカンザシゴカイ類の空の棲管から得られた.Laiphognathus (マダラギンポ属: 新称) は本種のみを含み, 近縁の属とは前・後鼻孔にそれぞれ皮弁が発達すること, 頭部の感覚孔数が多いことで容易に区別される.本標本の第7および第8背鰭棘は明らかに伸長しているが, これは本種に関しては未報告の雄の二次性徴と考えられる.新称は本種の体側の特徴的な斑紋に由来する.本種はこれまでインド洋と太平洋の熱帯域からのみ報告されているにすぎず, 本報告でより北方に分布することが確認された.

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