魚類学雑誌
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ヨコエソ科Diplophos taenia複合種群の分類と分布, および1新種D. australisの記載
小沢 貴和織田 康平井田 俊秀
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1990 年 37 巻 2 号 p. 98-115

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抄録

三大洋から得られたゴコエソ科Diplophos taenia複合種群698個体を用いて分類学的研究を行った.同群にはネッタイユメハダカD. taenia Günther, D. proximus Parr, ユメハダカD.orienialis Matsubara, および1新種D. australisの4有効種が認められ, それらは以下の特徴的形質を有する.ネッタイユメハダカ: 総脊椎骨 (TV) 90-100, 腹椎骨 (AV) 37-41, 尾椎骨 (CV) 52-60, およびIC発光器 (IC) 103-115;D. proximus: TV85-90, AV36-39, CV48-52, およびIC98-104;ユメハダカ: TV83-86, AV33-35, CV49-52, およびIC92-100;D. australis: TV84-91, AV33-37, CV50-54, およびIC99-105.以上の形質に加えて, D. proximusは他3種と比べより大きな眼径を体長70mm以上で有する (眼径/頭長比は同種で21-28%, 他3種で15-23%).幅広く分布するネッタイユメハダカのTV, ICおよび磐鰭条数は三大洋において低緯度で少なくて高緯度で多く, また大西洋での臀鰭条数は同緯度の他の2大洋の値よりも少ない.これらの変異のため, 種の同定は海域毎にのみ可能である.4種の分布域は明瞭に異なり, ネッタイユメハダカは東部熱帯太平洋を除く北緯40°-南緯30°の普遍種, D. proximusは東部熱帯太平洋固有種, ユメハダカは北緯30°-40°の北太平洋移行帯種, そしてD. australisは南緯20°以南の南大洋移行帯種である.

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