1986年5月28日に熊野海盆の水深2, 029-2, 045mでアシロ科の深海魚フリソデアシロ (新称) Eretmichthys pinnatusを1個体採集した.Eretmichthys (フリソデアシロ属: 新称) はオール状の極めて長い胸鰭を持つことで他のアシロ科の属と容易に区別できる.この標本を詳しく報告し, 従来記載されていなかった側線について特に言及した.本種はインド洋, スラウェシ島近海, およびコロンビア沖の太平洋から知られているのみであり, 未確認の1個体があるものの本報告が日本からの初記録となる.なお, 我々の標本 (雄, 標準体長386mm) はこれまでの最大個体であり, また, 新称は特徴的な長い胸鰭に由来する.