魚類学雑誌
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奄美大島から採集された日本初記録のネズッポ科ゴマイトヒキヌメリ (新称)
中坊 徹次林 公義
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1991 年 38 巻 1 号 p. 73-76

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抄録

鹿児島県奄美大島の崎の目海岸において, ネズッポ科イトヒキヌメリ属のPseudocalliurichthys pleurostictus (Fricke) (ゴマイトヒキヌメリ: 新称) の雄5個体, 雌3個体を採集した.本種は日本初記録であり, またベトナム産の完・副模式標本と若干の相違もみられるので記載した.
本種は体長約30mm程度で成熟する矮小種であると思われる.雄は背鰭第1棘が著しく長く糸状に伸び, 頭部側面, 頭部腹面, 体側面に多くの褐色の小円斑がある.また, 雄の下顎腹面は黒く, 喉部に逆V字状の暗色斑があり, これらは完模式標本である雄にはない形質である.雌の第1背鰭第2・3膜の上半分に1黒斑があり, 下顎腹面, 喉部ともに無斑紋である.副模式標本である雌には喉部に1黒斑があり, 奄美大島産のものと異っている.しかし, 全体としてみれば, これらの相違は種レベルのものとは考えられず, 奄美大島産の標本をP. pleurostictusと同定した.

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