魚類学雑誌
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インド・西部太平洋産ネズッポ科Repomucenus sagitta (Pallas) の新摸式標本の記載と, その種の再検討
中坊 徹次田 祥麟李 思忠
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1991 年 38 巻 3 号 p. 255-262

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抄録

ネズッポ科ネズッポ属のRepomucenus sagitta (Pallas) はFricke (1984) の提唱によって新摸式標本の指定が行われ, Opi-nion1388 (1986) で承認された種である.しかし, 本種については, 一番新しい記載であるFricke (1983) に用いられた標本の中にR.sagittaRepomucenus planus (Ochiai) の2種が混合していたり, 新摸式標本そのものの記載もない状態である.そのため, 今回新摸式標本の記載と, それを基準にして同定された, 東部インド洋, タイ湾, 南シナ海, オーストラリア北東岸, 黄海から得られた標本をもとに, 雌雄差, 地理的変異, 生息場所, 地理的分布を含めてR.sagittaの記載を行った.そして, オーストラリア北東岸に分布しているRepomucenus macdonaldi (Ogilby) は本種の同種異名であること, 黄海から採集され李 (1955) によってCallionymus kitaharae (Jordan et Seale) として報告されたものは本種であること, について述べた.
本種の新摸式標本指定の決定には, 後に同種異名がでるなど問題があるが, 国際動物命名規約にのっとって, しかたなくOpinion1388に従った.

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