魚類学雑誌
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ヒラメの変態期における左右体側皮膚の色素細胞の分化過程
青海 忠久
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1992 年 39 巻 1 号 p. 85-92

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抄録

変態完了後に正常な体色になる正常群とほぼ完全な白化となる白化群の2群のヒラメParalichthys olivaceusの仔魚を飼育し, 変態の過程における黒色素細胞の分化について, 透過型電子顕微鏡による観察を行った.正常群の仔魚では, 変態の進行にともなって色素芽細胞は左体側の皮膚では分化が促進され, 一方右体側の皮膚ではそれらは萎縮崩壊した.色素芽細胞の判別は, ドーパ反応と細胞の微細構造の観察によって行った.カレイ目魚類成魚の皮膚では, 粘液細胞が有眼側において発達し密度が高いことが知られている.そこで, 左右体側の粘液細胞密度比を求めたところ, 色素芽細胞の形態的相違が認あられる以前の変態始動期より増加し始めた.一方, 白化群では両体側の皮膚において, 色素芽細胞が萎縮崩壊することが観察され, 粘液細胞密度比も変態期を通じて変化しなかった.

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© 日本魚類学会
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