魚類学雑誌
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鰌の消化時間観察に就いて
田中 小治郎
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1955 年 4 巻 1-3 号 p. 34-39

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抄録

本研究は、ドジヨウの消化時間の観察について行われたのであるが、その結果の要点は次の通りである。
筆者はドジヨウを飼育水槽に入れておき、然る後餌料として食紅で染色したところのマルタニシ生肉、アカエビ生肉等を与えて、消化管内の内容物の変化から、消化時間を観察した。その結果マルタニシ肉では、胃が殆んど消化を終るのは約20時間で、不消化物が排泄されるのは約20時間以下を要することが判つた。
さてアカヱビの生肉では、胃で約24時間で、不消化物が排泄される所要時間は、早い場合で、約20時間を要することが判つた。そして過食された場合にマルタニシ、アカエビ両餌とも消化されるに長時間を要することを観察した。これは恐らく食物の貯蔵場所とも言うことが出来る胃と呼吸作用を営み、消化力の極めご低い腸とを有していることに密接な関係があるのであろうが、特に興味深い現象でと考える。

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