魚類学雑誌
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レンコダイTaius tumifronsにみられた兩性生殖巣
青山 恒雄
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1955 年 4 巻 4-6 号 p. 119-129

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抄録

レンゴダイを3, 291個体解剖して22個体両性生殖巣を持つものを発見した。これらの生殖巣は, 外観上は放出後または休止期の卵巣と成熟または成熟過程の精巣とからなつており, 切片による観察では卵巣には周辺仁期以前の卵母細胞のみが主としてみられるのに対し, 精巣では精子が半ば以上を占めている。以上からこれらの両性生殖巣は卵巣から精巣への転換過程にあるものと見られる。
性転換は秋の産卵後の休止期から次の生殖期にかけて行われ, はじめ卵巣の一部に精巣が生じこれが成熟して放精を行うものと見られる。一方卵巣は再び成熟することなく, 退化して行くのであろう。
レンコダイの性比は初成熟体長附近では雌70~80%と偏つているが体長が増すにつれて雄の割合が多くなり, 体長210~220mmで雌雄の関係が逆転し, 極く大型では雌は10~20%以下となる。両性生殖巣を持つ個体の出現率は性比が逆転する体長附近で高く, 性比の変化に性転換がいくぶん関係しているように考えられる。

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