魚類学雑誌
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イスズミの分類学的再検討
坂井 恵一中坊 徹次
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1995 年 42 巻 1 号 p. 61-70

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抄録

インド・太平洋海域に分布するイスズミKyphosus vaigiensis の分類学的再検討を行い, 後模式標本を指定すると共に, 各地から得られた123個体の標本にもとづき再記載を行った.イスズミは背鰭に14 (稀に13か15), 臀鰭に13 (稀に12) 軟条を持ち, 第1鰓弓の下枝鰓耙数が21-24 (多くは22か23), 体側中央の縦列鱗数が56-64, そして側線より上方の横列鱗数が11-14 (多くは12か13) であることによって特徴づけられる.そして, これらの形質を組み合わせることによって, インド・太平洋海域に分布する他の本属魚類と識別できる.
従来より本邦産のイスズミの学名に適用されてきたKyphosus lembus (Cuvier) をはじめ, Pimelepterus marciac Cuvier, P. ternatensis Bleeker, K. bleekeri Fowler, そしてオーストラリア沿岸にだけ分布するとされているK. gibsoni Ogilby は, それぞれの模式標本を検討した結果, すべてKyphosus vaigiensis の新参同物異名であることが判明した.

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