1995 年 42 巻 2 号 p. 165-171
スズキ仔稚魚の形態を西・中央日本の11地域間で比較したところ, 有明海奥部に位置する筑後川河口域のものは, 他10地域のものよりも, 黒色素胞の分布が淡い傾向にあった.さらに両者間には, 背鰭担鰭骨数, 脊椎骨数および頭長の体長比にも有意な差がみられた.これら発育初期の形態的情報から, 有明海産スズキの特異性が示唆された.また, これまでの天然スズキ仔稚魚の形態発育は, 筑後川河口域産のものだけをもとに記載されていたので, 本報告ではスズキ仔稚魚の典型として高知県四万十川河口域産のものについて形態記載を行った.