魚類学雑誌
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オキタナゴの薄明薄暮期の移動
櫻井 真中園 明信
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1995 年 42 巻 3-4 号 p. 261-267

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抄録

人分県佐伯湾に面する温帯域に生息するオキタナゴの薄明薄暮期の日周移動を観察, 記録した.日周移動が観察されたのは, 多数の個体が浅瀬の岩礁に出現する秋から初冬に限られた.本種は日中は漁港周辺の岩礁で活動したが, 夕方になると港方向へと移動し, 日没の平均30.4分前から日没後10.2分の問に港内へ入った.これらの個体は夜間は港内で休息し, 翌朝, 日の出前27.6分から港外へ再び移動した.移動経路は港周辺の100-150mの範囲では毎日同じであった.港入口での行動は, 移動個体の作る群れの大きさと形状により, 小群による移動, 行列を成す人群による移動, 行列後の小群による移動に区分できた.これらの行動の開始と終了の時刻は, 日没・日の出時刻に対する時刻がほぼ一定で, この時の水中照度もそれぞれ一定していた.漁港周辺に生息するほとんどすべての個体が漁港と岩礁域の間を移動すると考えられ, 港入口における計数結果より移動個体数は約48, 000尾と推定された.

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