魚類学雑誌
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異種精子によるコイ卵の発生 (予報)
鈴木 亮
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1957 年 5 巻 3-6 号 p. 114-117

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抄録

1) コイ卵に異種の魚類やカエルの精子を人工的に加えて、その発生を比較して観察した。
2) ×フナ♂の場合を除いた科間及び属間交配に於て加精した卵は嚢胚期と孵化期に死亡率が増加し、孵化仔魚の殆んどは奇形で、これらは孵化後21日以上は生存できなかつた。
3) ×フナ♂、×ヒガイ♂、×カマツカ♂及び×ヤリタナゴ♂のみの組合せに於ては加精卵の生活力や奇形の程度に等級がみられたが、これは小林 (1952) の系統図とほゞ一致している。
4) しかし×マドジヨウ♂によつて生じた胚は×ヤリタナゴ♂によるそれより発育がやゝ良く, 又奇形の程度も低いが、これは交配の成功不成功が実験に用いた魚類の類縁関係とは必らずしも一致しないことを指示している。

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