魚類学雑誌
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ベニテグリの生物学的研究
赤崎 正人
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1957 年 5 巻 3-6 号 p. 146-152

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抄録
ベニテグリに関する第二次性徴、食性等はいまだよく知られていない。筆者がこれらについて研究した結果は次の如くである。
1. ベニテグリは明らかにハナヌメリ属Synchiropusに属させるべきであるが、この属の内では本種が最もネズツポ属Callionymusに近いと考えられる。
2. 本種の分布の北限は太平洋側で横浜、日本海側で香住である。南限は不明であるが台湾から報告されている。
3. 成魚の第二背鰭軟条、臀鰭後部軟条、尾鰭軟条の長さは、雄の方が雌より著しく長く、また背鰭と尾鰭の斑紋も雌雄で異る。
4. 胃内容物としては甲殼類が優勢を示し、その中でも橈脚目と介形目に属するものが多かつた。その他に底棲性の下等無脊椎動物が散在していた。
5. 本種は冬の終りから早春にかけ産卵するものと思われる。
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