魚類学雑誌
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マルタ (ジュウサンウグイ) の脳下垂体並びに甲状腺の形態
本間 義治
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1958 年 7 巻 2-4 号 p. 109-113

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抄録

東亜旧北区特産で, 本邦コイ科魚類唯一の降海種マルタ (ジュウサンウグイ) の脳下垂体と甲状腺の形態を, 産卵期に近い材料で観察した。
1.マルタの脳下垂体は長大な紡錘型で, 視束交叉と結締組織の束によって連繋している。下垂体索が下垂体の前方背面より入るので, cranio-basic型である。
下垂体の組織構造や各腺葉の区分はコイ・フナなどと良く似ていたが, 構成4要素の配置には相異が見られた。
2.大型魚の甲状腺は緻密な前後両葉から成るが, 被膜の発達が悪い。甲状腺の濾胞上皮は低く, 広い濾胞腔内はコロイドで満たされており, 機能低下の組織像を示していた。
3.産卵期や性的成熟と甲状腺の機能との間には特別な関係がないように思われる。

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