抄録
糖尿病患者は年々増加傾向にあり, 現在わが国での40歳以上の成人における有病率は約10%と推定されている (1988年~1990年の日本糖尿病学会疫学データ委員会調査報告) が, この数値は歯科・口腔外科においても看過できないものである。
医療管理下にないあるいはコントロール状態の悪い糖尿病患者では, 口腔領域においても重篤な急性炎症を併発しやすく, 歯科医の立場からも厳重な注意と対応が要求される。
今回我々は, 顎口腔領域の急性炎症を併発して当科に来科した糖尿病患者3例を提示し, 口腔外科の立場から「糖尿病医療における問題点」についての検討を行った。