抄録
北海道医療大学歯学部附属病院口腔外科における1983年4月1日から1993年3月31日までの10年間の入院患者は732名であった。このうち, 314名(42.9%)がなんらかの基礎疾患を有しており, 疾患の総数は429であった。
性別では, 男性153名, 女性161名で, 比率はそれぞれの41.6%,44.2%を占めていた。有病者の平均年齢は46.6歳で, 入院患者全体は38.0歳であった。
有病者一人当たりの疾患数では, 単一の疾患を有するものが221名で, 複数の疾患を有するものは93名であった。
疾患では, 循環器疾患(31.9%)の占める割合が高く, 以下精神・神経疾患(16.6%), 代謝疾患(9.6%), 血液・造血器疾患(8.2%)の順であった。
年代では, 30歳代以下では, 精神・神経疾患の割合が高く, 40歳代以降では, 循環器疾患の割合が高かった。
基礎疾患の把握では, 87.2%が既往歴および現症からえられたが, 残りの12.8%は, 臨床検査で明らかにされた。血液・造血器疾患, 腎・尿路疾患の発見が困難であった。
入院時治療中の基礎疾患219疾患(51.4%)は, 入院後も主治医と連絡のうえ, 治療を継続した。残りの基礎疾患210疾患(48.6%)のうち, 45疾患(10.5%)では, 入院後新たに基礎疾患に対する治療が必要であった。