抄録
近年, 高齢化社会への急速な進行により, 歯科治療の困難な全身疾患を有する患者が増加している。今回, 1990年~1994年の5年間に医科から当科へ紹介された患者, 特に全身疾患を有する患者について臨床統計的に検討し, 以下の結果を得た。
1. 全身疾患を有する紹介者は, 40歳台以上の患者が多かった。
2. 全身的有病者の疾患には, 循環器系や代謝系が多かった。
3. 口腔外科的処置の紹介例に加え, 全身的有病者の歯科治療は一般歯科では困難との理由から, 当科に対し一般的な歯科疾患の治療依頼も多かった。
4. 高齢者では, 生理的機能の減弱に伴い, 必然的に有病者患者が増加しているため, 全身疾患の管理下での歯科治療が重要になる。