抄録
今回, 白衣高血圧症を伴った歯科治療恐怖症患者である55歳, 男性の症例を報告する。全身麻酔下に術後性上顎嚢胞摘出術, 抜歯術, 保存及び感染根管治療を行った。治療前後の抗不安薬の投与により血圧・脈拍は安定していた。
白衣高血圧症では, 病院血圧が自動血圧計での通常血圧より高くなり, その成因については, 心理的ストレス, 警戒反応, 防御反応と言われている。また, 歯科治療恐怖症とは, 治療に対する不安・恐怖の程度が強度なために受診を拒否・回避している病態である。
今回, 治療中に問題は生じなかったが, 白衣高血圧症を伴った歯科治療恐怖症患者に対する歯科治療には, 特に注意が必要であると患われた。