抄録
我が国では急速に高齢化社会が本格化し, 昨今では基礎疾患を有する患者の歯科受診が日常化している。特に総合病院歯科口腔外科は他科との連携医療や人的構成, あるいは検査, 設備の完備などから一般的に有病者の受診頻度が高い。そこで今回我々は有病者の受診動態を把握する目的で1996年4月1日から98年3月31日までの2年間に徳山中央病院歯科口腔外科を受診した有病者について調査し臨床統計的に検討を加えた。
当該期間2年間の当科初診患者2422名のうち有病者は570名 (23.5%) で, 他科疾患の延べ数は774疾患であった。有病者の平均年齢は57.2歳で, 年齢別分布では60歳台が最も多く167名 (29.3%) で, 60歳以上が325名57.0%を占めていた。
また有病者570名中473名 (83.0%) は何らかの医療機関から紹介されて当科を受診しており, 院内紹介が303名 (64.1%) で院外紹介が170名 (35.9%) であった。院外紹介のうち136名は歯科診療所からの紹介で有病のため歯科治療が困難とのことで紹介されたものは42名であった。
他科疾患は循環器疾患が774疾患中204例 (26.3%) と最も多く, 以下消化器疾患126例 (16.3%), 代謝内分泌疾患82例 (9.6%) と続いていた。
当科初診時に臨床所見や当科で行った全身的なスクリーニングなどから他科疾患を疑い他科を受診させ治療対象となった症例は急性単球性白血病, 十二指腸潰瘍, 肺炎, 脳梗塞の4例であった。これらはすべて入院加療を要する重篤なものであった。
今後も有病者の歯科受診が増加していくと考えられるが, 病診連携や医科歯科連携などの必要性から病院歯科口腔外科の役割が大きくなっていくものと考えられた。