抄録
技術革新を担う重要な研究課題の一つとして新素材開発とその応用面開発が挙げられる。近年材料科学の分野では、素形材料 (あるいは構造材料) に対して機能材料、さらには、知能材料の概念が広く認識されるに至り、その開発研究が進められてきている。流体材料に関してみても、水や空気、油といったいわば素形材料に相当するものに対して、電磁場の作用により機能性を発現させることのできる流体として、磁性流体やER流体の研究が進められてきている。さらに、より高度な機能性を付与したり、多機能化を進めることにより流体の知的の制御を行おうとする研究も開始されている。この意味からも混相流体は、重要な役割を演じるものと期待されている。
本稿では、機能性流体の代表例として磁性流体を取り上げ、その基礎から応用にわたる研究の道筋を4回シリーズで解説することにする。第1回目は、混相流体的な側面から磁性流体をとらえて磁性微粒子を含む流体の特性について、第2回目では磁性流体の力学の基礎を、第3回目では磁場の作用下での各種の流れの特性について、第4回目には磁性流体の応用面について解説することにする。