日本医真菌学会雑誌
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原著
Scopulariopsis brevicaulis による爪真菌症の1例
成田 有紀滝内 石夫
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2006 年 47 巻 2 号 p. 99-102

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抄録

症例, 57歳女性. 初診, 平成14年5月31日. 他の皮膚病変を主訴として当科受診した際, 右第1趾爪甲の変形が見出された. 初診時, 右1趾爪甲内側約3分の1が変形し, その部は褐色を呈し, 爪甲下角質の肥厚を認めた. KOH直接検鏡にて大型の丸い胞子と菌糸を検出. 培養にてTrichophyton rubrum 類似のコロニーを得たため, T. rubrum による爪白癬と考え同年6月17日よりテルビナフィン125mg/dayの連日投与を開始. 培養2~3週間後にコロニーの形態が褐色粉末状に変化し, スライドカルチャーでも箒状体が認められ, Scopulariopsis brevicaulis による爪真菌症と診断に至った. 同年8月6日よりテルビナフィンを250mg/dayへ増量し, 同年11月22日まで連日投与した. 約2ヵ月後の来院時にKOH直接検鏡にて菌陽性であった. 平成15年4月25日より1ヶ月間, 再度テルビナフィン (250mg/day) の投与をおこない, 平成15年7月4日に治癒と判定した. その後, 平成17年1月29日現在まで再発を認めていない.

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© 2006 日本医真菌学会
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