日本医真菌学会雑誌
Online ISSN : 1882-0476
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原著
Trichophyton tonsurans による右前腕のblack dot ringworm
藤田 繁望月 隆
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2007 年 48 巻 2 号 p. 91-95

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抄録
症例: 16歳, 男, 柔道部員. 1ヵ月前から右前腕に径約3cmの境界明瞭な鱗屑をともなう紅斑が出現した. 皮疹の中央部では自然治癒傾向がみられたが, 一部の毛がとぐろを巻いて断裂して黒点を形成していた. Trichophyton (T.) tonsurans による, 頭部のblack dot ringwormと似た所見であった. 鱗屑の直接鏡検で菌糸と分節分生子がみられた. 鱗屑採取時に混入した生毛と, black dotの鏡検で毛内性に配列する無数の分節分生子が認められた, 培養にて, T. tonsurans が分離され, ribosomal RNA遺伝子のITS領域の制限酵素分析でもT. tonsurans に一致する泳動パターンを示した. T. tonsurans は毛組織に侵入しやすく, 頭部のblack dot ringwormの主要な原因菌であることと, 本症例の体毛が太いことから, 体部ではあるがblack dot ringwormが形成されたと考えられる.
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© 2007 日本医真菌学会
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