日本医真菌学会雑誌
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総説
深在性真菌症起因菌の病原因子の探索
Aspergillus fumigatus を中心として~
渡辺 哲橋本 佳江日暮 浩実落合 恵理豊留 孝仁永吉 優亀井 克彦
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2008 年 49 巻 4 号 p. 263-267

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抄録

深在性真菌症の症例数の増加傾向がここ数十年続いている.とりわけA. fumigatus は深在性真菌症の原因菌のなかでも重要なものの一つである.近年我が国においても新規抗真菌薬が次々と上市されたが本菌感染症は依然として致命率が高い.治療効果を高めるためには早期診断が必須である.本菌感染成立のメカニズムを解明することが早期診断法や新しい治療法の開発につながる可能性もあり,本菌の病原因子の探索が続けられている.病原因子の候補として種々のprotease,mycotoxinが挙げられ,その生物活性について多数の報告がなされている.我々はその中でgliotoxinを代表とする二次代謝産物の病原性への関与について研究を続けてきた.その結果,本菌からはgliotoxinを含めた複数の強力な生物活性を有する低分子化合物が産生されていることが明らかとなった.現在それらの化合物を分離精製し,活性を検討している.

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© 2008 日本医真菌学会
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