抄録
皮膚糸状菌3菌種保存12菌株に対するチオカルバミン酸系抗真菌薬liranaftateのサブロー • デキストロースブロスにおける殺菌活性をluliconazole,amorolfine hydrochlorideおよびketoconazoleと比較検討した.Trichophyton rubrum 6株に対するMIC値はluliconazoleが最も小さく0.001-0.009μg⁄mlであったが,MCC値は大きく発育阻止の在り方は静菌的であった.一方,MCC値はliranaftateが最も小さく0.009-0.039μg⁄mlであり,MIC値と大きな差がなく殺菌的な発育阻止を示した.T. mentagrophytes3株およびMicrosporum gypseum3株に対してはketoconazoleを除くいずれの薬剤とも殺菌的に発育を阻止する傾向にあった.
Time-kill curve法による検討では,T. rubrumに対してliranaftateが最も早期に生菌数を測定限界以下に低下させた.Amorolfineの生菌数低下の程度はliranaftateより緩慢であり,luliconazoleおよびketoconazoleでは生菌数の低下がわずかであった.一方,T. mentagrophytesに対する殺菌活性は薬剤による差が全く認められなかった.またM. gypseumに対する殺菌活性はT. rubrumと同様にliranaftateが最も優っていた.今回,T. rubrumは他の菌種より殺菌し難いことが明らかとなったことから,本菌に殺菌的に作用するliranaftateは白癬の治療に有用な薬剤と考えられた.