日本医真菌学会雑誌
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総説
表在性真菌症の動物モデルによる解析
古賀 裕康
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2009 年 50 巻 2 号 p. 085-089

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抄録

動物感染モデルは表在性真菌症の解析に有用なツールである.白癬においては,Trichophyton mentagrophytesを起因菌としたモルモット体部白癬および足白癬モデルが利用されている.我々は,近年国内で蔓延しているT. tonsurans感染症ならびにMalassezia restrictaの関与が指摘されている脂漏性皮膚炎の研究を目的として,これら2疾患の動物モデルの作製を試みた.方法は,モルモット背部皮膚の角層をテープストリッピングによって剥離した後,左右2ヵ所の接種部位に菌液を単回接種して非密封で放置し,感染病態を肉眼的および病理組織学的に観察した.その結果,T. mentagrophytesによる体部白癬モデルと比較して,T. tonsuransでは毛包を中心とした部分的な弱い炎症反応が認められ,ヒトに類似する病態と考えられた.感染局所皮膚の培養試験では,好人性菌種にかかわらず高い感染率が認められた.M. restrictaでは,テープストリッピングを施すと感染は成立しなかった.一方,テープストリッピングせずに菌を接種したところ,鱗屑を特徴とする所見が観察された.この病態は菌を反復接種することでより明瞭となり,脂漏性皮膚炎に類似すると考えられた.これらT. tonsurans感染モデルおよびM. restricta感染モデルは,それぞれの疾患の解析や治療法に有用であるとともに,表在性真菌症の研究における動物実験の重要性を支持すると考えられた.

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© 2009 日本医真菌学会
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