日本医真菌学会雑誌
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原著
実験的炎症マウスモデルにおける抗真菌薬リラナフタートの抗炎症効果
丸山 奈保安部 美江久島 達也羽山 和美安部 茂
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2010 年 51 巻 1 号 p. 7-11

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抄録
チオカルバミン酸系外用白癬治療剤リラナフタートの抗炎症効果を検討するため,マウスの耳にホルボール12ミリスタート13アセタート (PMA) を塗布した起炎モデルを作成し,リラナフタート塗布の効果を検討した.方法として,耳の腫れと,好中球集積のマーカー酵素である組織中のミエロペルオキシダーゼ (MPO) 活性を測定した.PMA塗布6時間後の耳の肥厚は,リラナフタートにより濃度依存的に抑制され,4%では有意な減少が示された.PMA塗布24時間後では,耳切片重量がリラナフタートにより濃度依存的に低下し,4%では有意な減少が示された.MPO活性はいずれの濃度でも有意に抑制され,4%塗布で最も強い抑制を示した.耳の厚さは2%のみで有意な減少が見られた.耳の組織切片観察から,リラナフタート2%塗布は,PMAによる炎症性細胞の集簇を抑制することが示された.リラナフタート塗布が好中球集積の伴う炎症を抑制したことから,本剤が抗真菌作用だけではなく炎症症状をも抑制し,白癬の症状を緩和する可能性を論じた.
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© 2010 日本医真菌学会
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