抄録
新規イミダゾール系抗真菌剤であるSS717の抗真菌活性の特徴を明らかにする目的で,in vitro抗菌活性が測定条件によって,どのような影響を受けるかの検討をCandida glabrataおよびTrichophyton mentagrophytesの菌株を用いて行い,さらに各種保存株および新鮮臨床分離株に対するin vitro抗菌活性を測定した.抗菌活性の測定は寒天平板希釈法により行い,対照薬にbifonazole(BFZ)を用いた.SS717のMIC値は,培地pHが中性域にある場合に最も低い値を示し,接種菌量の増加,培養日数の延長および血清の添加によりそれぞれMIC値は上昇した.本剤の抗菌活性は培地組成によっても影響を受け,casitone agar (CA)およびbrain heart infusion agar上で比較的低いMIC値を示し,Sabouraud dextrose agar (SDA)培地でより高い値を示した.この傾向は酵母類で顕著に現れ,Candida albicans臨床分離株に対する本剤のMIC値は,SDA培地で10~>20(μg/ml),CA培地で0.63~10(μg/ml)と差が大きかった.本剤は広い抗真菌スペクトルを示し,特に局所療法の適応症となる表在性真菌症の原因菌を含む病原真菌に対してBFZとほぼ同等かまたはそれ以上の抗菌活性を示した.