日本医真菌学会雑誌
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Fungi-TapeTMおよびMycoPerm-BlueTMを用いたサブロー・ブドウ糖斜面寒天培地からの病原真菌の同定法の試み
小笠原 弓恵比留間 政太郎武藤 正彦
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2003 年 44 巻 3 号 p. 217-220

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抄録

病原真菌を同定する簡便な方法として,Scotch-tapeTMやfrosted tapeを用いた報告があるが,今回われわれは真菌観察用に開発されたFungi-TapeTMとMycoPerm-BlueTMを用いたより簡便な方法について検討した.皮膚真菌症から分離された66株のサブロー・ブドウ糖斜面寒天培地上の集落をFungi-TapeTMを用いて直接採取し,MycoPerm-BlueTMで染色固定した後,顕微鏡にて分生子を観察した.この簡便な方法により同定できた菌は66株中47株(71.2%)あり,従来の方法での結果は66株中64株(97.0%)でその一致率は73.4%であった.表面が顆粒状の集落については一致率は80.0%で,表面が絨毛状の集落についてはその一致率は41.2%であった.特にT.rubrumでは培養後長時間経過すると絨毛性変異をきたしやすく,従来の方法との一致率が著しく低下した.Fungi-TapeTMとMycoPerm-BlueTMを用いた菌の同定法は,経時的に分生子を観察する場合にも便利であり,肉眼的な集落の特徴を観察しながら,その部位の顕微鏡的特徴を観察することができ,また長期間保存が可能などの利点がみられた.

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