日本医真菌学会雑誌
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爪白癬に対するイトラコナゾール・パルス療法の至適用法・用量
渡辺 晋一
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2004 年 45 巻 3 号 p. 143-147

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抄録

趾爪白癬に対するイトラコナゾール(以下ITCZ)パルス療法は,400mg/日3サイクルを基本とした療法が海外では一般的である.今回,この400mg/日3サイクルと日本で広く行なわれている200mg/日の低用量のパルス療法(3サイクル,6サイクル)についてランダム化二重盲検並行群間比較試験を行なった.評価は6ヵ月目の著効率で判定,その後同意の取れた患者については48週間のフォローアップを行なった.
6ヵ月目の著効率はIII群(400mg/日3サイクル)32.7%,II群(200mg/日6サイクル)25.5%,I群(200mg/日3サイクル)14.9%であった.また,「著効」以上と「著効」未満の例数より求めたオッズ比はI群に対してIII群(2.78)>II群(1.95)であり,統計学的にも400mg/日3サイクル(III群)のパルス療法の優位性が示された.また,副作用の発現率も3群間で差がみられなかった.さらに,1年のフォローアップ後においてもIII群が健常爪の伸び,爪の肥厚の改善,爪の混濁比の改善の点で他の2群より有意に優れていることが示された.また,48週目までのITCZの爪中濃度はIII群が他の2群に比べ有意に高く(p<0.01),II群とIII群は総投与量が同じにもかかわらず,爪中濃度はIII群はII群の倍以上高く,ITCZが長期にわたって爪に残存することが示された.

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