スリランカにおいてジャガイモシストセンチュウ、Globodera rostochiensisが初めて検出されたのは1989年とされ、そのpathotypeはわが国のものと同型のRo1とみなされている。この線虫の発生を確認し、その分布を明らかにするとともに、耕種的防除の可能性を検討するため、スリランカの5つのジャガイモ主要産地において1991年に調査を実施した。その結果、ジャガイモシストセンチュウの分布は、本種がこの国で初めて検出されたヌワラエリヤ地方 (海抜2,000m近い高原地帯) 及びその周辺に限定されることがわかり、この地域からのイモ、土壌、訪問者などによる他地域への伝播を防止することが防除上きわめて重要であると考えられた。なお、各地での聞きとり調査及び既に実施されていた侵入ルートの追跡調査から、本種は輸入種薯に付着してスリランカに侵入した可能性が大きいと判断された。また、ジャガイモとキャベツ、ニンジンなどとの輪作は本種の密度低下に有効であった。