抄録
1)宮崎県より取寄せたミナミネグサレセンチュウ被害圃場の土壌にサツマイモ農林2号を植え,約10年間温室内で継続飼育したところ,ネコブセンチュウの著しい寄生が認められた。
2)Perineal patternによる形態調査や寄主反応試験により,この線虫はサツマイモ抵抗性品種の抵抗性を破るサツマイモネコブセンチウMeloidogyne incognitaの一系統であることが明らかとなった。
3)この系統は農林2号を含む3つのサツマイモ抵抗性品種に対し感受性品種と同程度に寄生増殖した。
4)この系統と抵抗性を破らない普通の系統の両者を,生理学的手法の導入により識別できるかどうかを予備的に検討した。線虫体の赤外線吸収スペクトル曲線や水溶性蛋白のディスク電気泳動像では系統間に差を認めなかったが,抗血清に対する免疫沈降反応では僅かな差異がみられた。