日本栄養・嚥下理学療法学会雑誌
Online ISSN : 2759-3738
症例報告
進行性核上性麻痺患者の経口摂取に対する呼吸機能、座位バランス機能への介入の効果:症例報告
宇野 勲
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2024 年 1 巻 1 号 p. 17-23

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抄録

【目的】誤嚥性肺炎発症後に経口摂取不可の判断をされた進行性核上性麻痺の症例の経口摂取獲得に対して、呼吸機能やバランス機能に重点を置いた理学療法介入の有効性が示唆されたため報告する。経過および【結果】入院時に経鼻経管栄養を使用されていたが、2日目に3食ゼリー食に変更となった。しかし、痰量が多く、座位バランスが不良だったため、安全な経口摂取が困難であった。入院期間中、呼吸機能、バランス機能への理学療法を中心に行った。途中、COVID-19に感染し隔離された期間があったが、経過とともに自己排痰が可能となり、食事動作は安定していった。食事はミキサー食に変更となり、家族への食事準備および介助指導を経て、入院から59日目に自宅退院となった。【結語】進行性核上性麻痺症例に対する呼吸機能、バランス機能への介入は、安全な経口摂取獲得に有効な可能性が示唆された。

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© 一般社団法人日本栄養・嚥下理学療法学会
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