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人工受精に依るカモ類の雜種
山階 芳麿
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1950 年 13 巻 60 号 p. 1-5

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抄録

從來鳥類の人工受精はゲームバードの間に於てわづかに数回行はれたのみで、カモ類の間で実驗されたのは今回が始めてである。筆者は材料としてアヒルとバリケンを使用した。先づ雄、雌を別々に離して飼養し、性的昂奮り高まつた頃一緒にすると直ちに性交を行はうとするが其の直前にすばやく雄を捕へ下腹部よりペニスへと指で強く抑へペニスにあててゐる消毒した瓶にスパームを受ける。之はニワトリよりも簡單な技術で足りる。精液は30%のリンゲル液にでうすめ約0.5ccを雌の輸卵管に細いゴム管で注入する。このテクニツクも割合樂に行ひ得るが輸卵管の入口はニワトリ程あまりはつきりとせず區別し難い。興味のある事は輸卵管に精液を注入する事に成功した時には必ず水に入つて休を洗ふ事で之は普通に受精した場合に行ふ行爲である。卵は孵卵器に入れ28日目の8月中旬に孵此した。16個の卵を生んだ中8個は無精卵で、6個は受精卵であつた。之等の雛は冬季には既に成熟に達したのてある。人工受精の実驗は異つた動物の間に於ける類緑関係を知る爲に重要な手がかりとなるものである。

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