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山梨県須玉町津金を中心としたカラスのねぐら集合(第一報)
平林 浩
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1962 年 17 巻 79-80 号 p. 123-144

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抄録

1. 津金におけるカラスのねぐら集合についての調査は1959~1962年にかけて,山梨県北巨摩郡須玉町津金一帯及び長野県諏訪郡一帯において行なったものである。
2. 9月から3月のねぐら集合の個体数とその変動,集合の順序,集合の季節的変動について整理した。
3. ねぐら集合の個体数は9月,10月,11月と増加し,12月,1月,2月に最高数(約2,500羽)を示し,2月終りから3月と次第に減少する。
4. ねぐらに集合するときの飛来経路を,諏訪方面,佐久方面,釜無方面甲府方面及び地付きのものと分けることができ,そのうち集合数が最高を示す12月~2月には甲府方面からの個体数が最も多く,諏訪方面,釜無方面.佐久方面の順になっている。
5. 地付きの個体はねぐらに入る前の集合の行なわれる場所附近に一日中採食しているもので,津金の場合約38羽である。この個体はその日の集合の場所の決定に重要な役割りをしている。
6. 集合時間は,ねぐにに入る約2時間前からで,日没の時間にともなって変わってくる。
7. 朝の飛び立ちはまだ暗いうちに行なわれるので,数を確認したり,飛行方向をはっきりさせることができなかった。
8. 集合は,採食地集合,飛行集合,ねぐらに入る前の集合,休眠集合という順序で行なわれる。しかし,ねぐらに近い地域の個体はほとんど集合せず,従って群にならずにねぐらに入る前の集合に加わる。遠方の個体は飛行集合を2回3回と重ねて次第に大きな群を作りながらねぐらに入る前の集合をする。
9. 集合はほぼ定まった経路を通って行なわれる。調査の結果では,約40km半径の地域から集まってくるものと推定される。
10. 津金の場合遠方から大群になってくるのは,甲府方面,諏訪方面にみられ,釜無方面からのは群が小さいか,または2羽単位で集合する。
11. 9月から3月までのねぐら集合は秋型集合と冬型集合に分けられ,前者は9月~11月,後者は12月~2月である。3月の集合状態は9月と似ている。秋型集合は釜無方面と佐久方面からの個体が主で,諏訪方面,甲府方面からの大群は集合しない。冬型集合は甲府,諏訪方面からの群が加わる。そして全般に集合する群が大きるなることが特長である。
12. 諏訪地方のカラスは秋季は小泉山をねぐらとして,約900羽が集合する。ここに集合する個体が12月から2月にかけて津金のねぐらに移動する。

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