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Strigidaeの肺•気嚢系の形態について
門崎 允昭
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1977 年 26 巻 2-3 号 p. 87-92

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抄録

Strigidae 4種 Asio otus, Otus scops, O. bakkamoena, Strix uralensis の肺•気嚢系の形態的特徴は次のとおりである。1次気管枝は4種とも助骨面に裸出しない。1次気管枝の最小口径は,A.otus が3次気管枝の口径より大きいが,他の3種は3次気管枝の口径と同等かそれよりも細い。2次気管枝は4種とも ADs,PDs, PVs, PLs.の4群から成る。 PDsが明確に助骨面に裸出しているのは O.scops だけで,A.otus では一部だけが裸出し,他の2種では全く裸出しない。すべての主気嚢を有するのは S.uralensis のみである。 A.otusO.bakkamoena は腰仙部気嚢を欠くが,O.bakkamoena では腹気嚢により代償されている。 O.scops は頸椎部気嚢,胸椎部気嚢,腰仙部気嚢を欠くが,頸気嚢と腹気嚢とにより代償されている。鎖骨間気嚢は通例交通路 AD3 と A-connection を有し,胸郭内に広く占位する気嚢であるが,観察した4種ではそれに該当する気嚢は腕頭動脈と胸骨気管筋に囲まれた狭小な領域に分布するにすぎず,その外側部には交通路AD3とP-connectionを有する気嚢,すなわち前胸気嚢が代償的に伸展分布している。したがって,胸筋問,腋窩,および肩甲骨下の憩室は前胸気嚢から発生しており,この点他の鳥類と異なっている。肝臓と腺胃•筋胃間には大きな憩室がある。なお,LUCAS et al.(1959)は Bubo virginianus の肺•気嚢系の形態がニワトリに類似していると記載しているが,観察した4種とニワトリでは前胸気嚢と鎖骨間気嚢の形態に著な差異がみられた。GROEBBELS(1932)は, Striges は後胸気嚢が前胸気嚢より容積が大であると記載しているが,観察した4種では前胸気嚢のほうが容積が大きかった。

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