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Ardeidaeの肺•気嚢系の形態について (I)
門崎 允昭
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1978 年 27 巻 2-3 号 p. 45-50

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抄録

Ardeidae2種 Ardea cinerea,lxobrychus eurhythmus の肺•気嚢系の形態的特徴は次のとおりである.
1次気管枝は2種とも助骨面に裸出しない.1次気管枝の最小口径は,A.cinereaが3次気管枝の口径より大きいが,I.eurhythmus は3次気管枝の口径よりも細い.2次気管枝は2種とも ADs,PDs,PVs,PLs の4群から成る.PDs は2種とも PD1~PD6 あるいは PD7 まで助骨面に裸出している.2種とも総ての主気嚢を有している.頸気嚢は通例AD1のみと直接交通する気嚢であるが,2種の頸気嚢は肺門の肺動脈の頭側豊縁部で AD1 と直接交通する他,肺門の肺動脈の頭側鋭縁部で3次気管枝から成る集合気管枝と交通している.この交通路は発生学的に未確認であるが,形態的には回帰気管枝と同類のものである.頸気嚢でのこの種の交通路は今まで記載がなく初知見と思われ,2種におけるこの交通路の存在は他の鳥類との最大の特異点である.なお,I.eurhythmus は AD1 と前記の位置で交通する他,肺門と肺尖間の中点より,さらに肺尖寄りの位置でも AD1 と交通している.頸二腹筋下の憩室を I.eurhythmus は有するが,A.cinerea はそれを欠いている.2種の鎖骨間気嚢は,他の多くの鳥類の鎖骨間気嚢に見られる AD3 との交通路を欠いているが,A-connection と交通する他,肺門の肺静脈の頭側鋭縁部で I.eurhythmus は AD1 と, A.cinerea は AD1 と3次気管枝とから成る集合気管枝と交通している.この種の交通路を有する鎖骨間気嚢は既に Anatidae の数種類で報告されている.したがって I.eurhythmusA.cinerea の鎖骨間気嚢の形態および交通路は,これら鳥類の鎖骨間気嚢に類似している.寛骨臼周辺の憩室は A.cinerea は腰仙部気嚢から, I.eurhythmus は腹気嚢から発生している. A.cinereaI.eurhythmus の肺•気嚢系の形態は大筋において類似している.

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