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南アルプス白根三山におけるライチョウ Lagopus mutus のなわばり分布と生息個体数
羽田 健三中村 浩志小岩井 彰飯沢 隆田嶋 一善
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1985 年 34 巻 2-3 号 p. 33-48

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抄録

(1)1981年6月15日から同20日にかけ,南アルプス白根三山で,ライチョウの生息個体数に関する調査を行った.
(2)計89雄と16雌が発見された.これらの個体の行動観察,生活痕跡や植生•地形から計100のなわばりが推定された.
(3)なわばりは,標高3,000m以上の山に多く見られた.また,高山帯1km2あたりなわばり密度は,高い山ほど高い傾向にあった.標高の最も高い北岳が14.07と最も密度が高く,調査地全体の平均密度は1km2あたり6.95なわばり(17.4羽/km2)であった.
(4)なわばりは,高山帯の面積が大きければ多いという単純な関係にはなく,標高2,900-3,000mを境に,それ以上低くても,逆に高くても少なかった.
(5)なわばり密度は,背の低い(40cm以下)ハイマツの分布ときわめて高い正の相関があることがわかった.
(6)ライチョウの生息環境に対する若干の論議が行われた.

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