日本口腔粘膜学会雑誌
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原著
免疫抑制剤cyclosporin Aを用いたマウス口腔カンジダ症持続感染モデルの確立
佐藤 洋介田中 彰又賀 泉
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2010 年 16 巻 2 号 p. 40-48

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抄録
これまでの副腎皮質ステロイド薬を用いた口腔カンジダ症実験モデルにおいては,口腔カンジダ症が発症しても短期間で自然治癒することから,経時的な変化を観察することは困難であった。そこで,本研究では免疫抑制剤cyclosporin A(以下CyA)投与下にカンジダを持続感染させたマウスモデルを作製し,経時的な所見について検討した。菌接種前後に計4回CyAを投与し口腔内を観察した。舌組織を採取して二分し,半側で菌定着数を調べ,もう半側で病理組織標本を作成して,菌糸の侵入状況,上皮層厚径を測定した。菌定着数は菌接種5日目が最も多く,以降徐々に減少し11日目で概ね検出されなかった。病理組織学的所見では,5日目で角質層内に菌糸と上皮層の肥厚が認められ,菌糸がほとんど見られなくなった11日目においても上皮層の肥厚は残存していた。この口腔カンジダ症持続感染モデルでは,経時的な上皮の組織変化と定着菌数の変化の評価が可能で,本モデルの有用性が示唆された。
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© 2010 日本口腔内科学会
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