2001 年 7 巻 1 号 p. 20-25
口腔粘膜は膿原性肉芽腫の好発部位の1つである。われわれは口腔に生じた膿原性肉芽腫の20例について臨床的, 病理組織学的に検討した。20例中7例が男性, 13例が女性であった。年齢は2歳から73歳にわたり平均年齢は35歳であった。発生部位は口唇 (30%), 舌 (25%), 歯肉 (20%) が多かった。臨床症状としては弾性軟, 暗赤色の腫瘤が特徴的であった。6例で外傷の既往があり, 2例は妊娠中であった。全例に外科的切除が行われ再発は認めていない。病理組織学的には毛細血管の増殖と炎症性細胞浸潤を伴う肉芽腫の所見を示した。舌に生じた病変では毛細血管性血管腫に類似した毛細血管の小葉状増殖を認めた。しかしながら舌以外の病変では小葉状構造は明らかでなかった。