日本手術看護学会誌
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看護基礎教育における手術室実習の実態調査
大滝 周大木 友美加藤 祥子小松 亜希子
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2019 年 15 巻 1 号 p. 3-12

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抄録

要旨:看護学生が急激な生体侵襲を受ける患者を理解するための1つの方略として手術室実習の有効性が報告されている。そこで本研究は,看護基礎教育における手術室実習の教育方略を検討するための基礎的資料として,手術室実習の実態調査を行った。調査方法は,文部科学大臣指定(認定)されている看護師養成学校280校に対して,手術室実習の実態に関する自記式無記名質問紙調査を行った。分析方法は,単純集計およびテキストマイニングの手法を用いた。本研究は筆者らが所属する機関である倫理委員会の承認を得た(no. 380)。回答は,280校中70校(回収率25%)から得た。手術室実習に関して,54名(77.1%)が〔必要である〕,11名(15.7%)が〔どちらともいえない〕と回答しており,多くの看護基礎教育機関で,手術を受ける患者を理解するために手術室実習が必要であると考えている一方,カリキュラムの一環や所属機関の方針として行っている教育機関もあることが明らかとなった。手術室実習の実際として,見学を主体としているのは69校中67校と高い割合を示しており,専門性が高いといわれる手術室実習での指導は,手術室看護師に一任される,または教員と手術室看護師が一緒に指導していることが明らかとなった。手術室看護師らは,看護学生を指導するに当たり,手術室の環境だけではなく,手術室で提供される術中看護,いわゆる手術看護について看護学生らに教授していることが推察された。

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