2021 年 17 巻 1 号 p. 124-131
要旨:手術看護において倫理的課題に対応するための看護師自身の動機について示唆を得るために,手術室看護師に倫理的行動を起こさせる「意志」について探求することを目的とした。10名の認定看護師に面接調査を行い,質的記述的に分析した。分析の結果,≪アドボケイトとしての自覚≫≪患者への思い入れ≫≪より善いケアの希求≫≪専門職としての自覚≫≪チームに働きかける≫の5つのカテゴリーが抽出された。これらはさらに,【患者中心に考える】【すべきことをする】【周囲と協調する】という3つのコアカテゴリーに集約され,「患者中心に考えて,すべきことをする,ただし周囲と協調する」という関係性を示すと考えられた。この意志によって参加者は手術室という特殊環境においても倫理的行動に至っていた。組織のなかで患者の擁護者としての使命を果たす看護専門職としての姿が明らかになり,手術室看護師が倫理的行動をとる際の基盤となることが示唆された。