相模原市における 1965 年から 2014 年まで 50 年間の空中飛散花粉の推移を統計学的に解析した.スギ,ヒノキ科,カバノキ科,ブナ科,ニレ科の花粉が増加し,特にブナ科は有意に増加した.マツ科は一定の傾向が見られなかった.マツ科を除く木本花粉飛散数の間には有意な相関が認められた.イネ科花粉は 1966 年に著しく減少したが,1980 年頃より変化が見られなかった.ヨモギ属花粉は有意に減少した.またカナムグラ花粉は一定の傾向が見られなかったが,ブタクサ属花粉は 1990 年代まで増加しその後徐々に減少した.スギ花粉の初観測日が早まり,終了日が遅く,飛散期間が長くなった.秋のスギ花粉が有意に増加し,翌年春の花粉数と有意な相関が認められた.ヨモギ属,ブタクサ属,カナムグラなど秋に飛散する草本花粉の飛散時期が遅くなる傾向がみられ,温暖化の影響であることが示唆された.50 年間の観測から,空中花粉飛散数の推移を客観的に評価する事ができた.