日本花粉学会会誌
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イネ科草本植物 6 種の花粉生産量
定量的植生復元の基礎資料として
和田 周佐々木 尚子 高原 光杉田 真哉
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2018 年 63 巻 2 号 p. 37-51

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抄録

植生の定量的な復元のための基礎資料として,人間活動と深く関わってきた草本植物であるイネ科植物 6種の花粉生産量を推定した.原則として葯あたり花粉数,小花あたり葯数,花序あたり小花数,単位面積あたり花序数を計数し,それらの積として単位面積あたり花粉生産量を求めた.ただし,花序の構造の違いに応じて,種ごとに適宜計数項目を変更した.各草本植物の花粉生産量は,エノコログサが0.24±0.04(10^12粒・ha^-1),カラスムギが0.78±0.17(10^12 粒・ha^-1),イネが2.08±0.53(10^12 粒・ha^-1),セイバンモロコシが4.42±0.63(10^12 粒・ha^-1), ススキが6.22±0.91(10^12 粒・ha^-1),ネズミムギが16.39±2.79(10^12 粒・ha^-1)であった.本研究で対象とした草本種の花粉生産量は,齋藤(2012)などによって報告されている木本の花粉生産量の範囲(10^12~10^13 粒・ha^-1)に概ね収まることが明らかになった.

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© 2018 日本花粉学会
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