日本小児血液学会雑誌
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皮膚病変と消化管浸潤による著しい発育障害を合併した先天性Langerhans cell histiocytosisの1例
清水 宏之設楽 利二鈴木 則夫平戸 純子
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1999 年 13 巻 3 号 p. 184-187

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抄録
出生時からの皮疹と腸管浸潤のために著しい発育障害を合併した先天性Langerhans cell his-tiocytosis (LCH) の1例を報告する.出生時より全身に水疱を伴う皮疹を認め, 当初先天性ヘルペス感染症として治療された.しかし, 皮疹は消退せず, その後, 粘血下痢, 蛋白漏出性腸症による低蛋白血症, 浮腫が出現し高度の発育障害を呈した.皮膚および大腸生検によりLCHと診断した.皮膚, 腸管以外の臓器浸潤は見られなかった.中心静脈栄養下にビンブラスチンとプレドニゾンの投与を行ったところ著効した.先天性LCHは極めてまれであるが, その中で皮膚病変のみで自然治癒傾向が強く, 予後良好なcongenital self-healing LCH (CSHLCH) の病型が知られている.文献検索で, 本報告例に酷似した先天性LCHの症例が散見されることから, 皮膚および腸管病変で特徴付けられ, CSHLCHとは異なる先天性LCHの病型も存在するものと思われる.
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