日本小児血液学会雑誌
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胎児母体間輸血症候群に合併した新生児同種免疫性好中球減少症の1例
島崎 紀子木下 明俊保科 めぐみ上牧 務原 光宏坂口 斌
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2002 年 16 巻 5 号 p. 290-293

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抄録

新生児同種免疫性好中球減少症における抗好中球抗体産生の機序は, 必ずしも明らかでない.症例は日齢6の女児.貧血を主訴に入院.貧血は, 正球性正色素性貧血 (RBC265×104/μl, Hb8.2g/dl, Ht25.4%, MCV95.8H, MCH28.3pg) であり, 網状赤血球数の増加を認めた.好中球数減少 (240/μl) は, G-CSFに反応し, 2生月から自然に増加した.母体血清中のAFP高値 (出産後61日で71ng/ml), 抗NA2抗体陽性より, 胎児母体間輸血症候群と新生児同種免疫性好中球減少症の合併例と診断した.本症例では, 胎児母体問輸血症候群による母体感作の結果, 抗体が産生され, 新生児同種免疫性好中球減少症が発症したと考えられた.

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