抄録
好酸球はアレルギー疾患, 寄生虫感染, 悪性腫瘍などに関連して末梢血や組織中に増加する.正常人において好酸球の存在は末梢血と消化管組織に限られているが, 疾患においては末梢血に増加するのみでなく, さまざまな組織への好酸球の特異的な浸潤が認められる.たとえば, 気管支喘息患者の気道粘膜には好酸球が浸潤し, 好酸球から遊離された顆粒蛋白などの炎症性メディエーターが気道障害を引き起こしている.好酸球増多はヒトにとって害を及ぼす一方で, 好酸球は寄生虫に対する重要な生体防御をっかさどり, 宿主にとって有益でもある.この総説では好酸球の分化増殖および組織への浸潤機構を総括するとともに病気における好酸球の役割を解説し, 好酸球の生物学的特徴と好酸球増多性疾患の病態に関する理解をより深めるとともに, 新しい治療方法開発の一助としたい.