日本小児血液学会雑誌
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遺伝性球状赤血球症の臨床的重症度と予後を評価するための赤血球膜蛋白の解析
大野 敦子渋谷 温
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2004 年 18 巻 3 号 p. 140-145

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抄録
遺伝性球状赤血球症 (HS) は多様な臨床像を呈し, 赤血球膜異常を有する疾患である.赤血球膜異常の重症度と臨床像との関連を評価するため, 今回われわれは, 28人のHS患者で血液検査や臨床像を調べるのと同時に, SDS-PAGEによる赤血球膜解析を行った.その結果, 膜蛋白であるband3値とHb値, 脾臓の大きさにおいて相関関係を認めた.band3値が低い患児はHb値が低く, そして脾腫を合併する患児においてもHb値が低い傾向にあった.これらの値はHS患児の貧血重症度とband3値との間に関連性があることが推測できた.また脾腫があり脾摘に至った患児では, band3値がほぼ正常に近い3人を除いた25人のband 3値は低値であった.これらの結果から, band3値が低値で脾腫のある患児は重度の貧血を伴うことが多いので, 脾摘を行うべきと考えられた.
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